雑誌の情報をチェックする際には薬事法を意識することが大切!

健康や美容に関する情報を雑誌を利用して収集しているという人も多いのではないでしょうか。雑誌には、健康や美容情報を扱うコラムから、特定の商品を紹介する記事、健康食品や化粧品の広告まで、幅広い情報が掲載されていますよね。

ここでは、薬事法が適用される範囲について解説し、過去にあった薬機法違反の例についてもご紹介します。雑誌を読む際に覚えておき、正しく情報収集ができるようにしてください。

→薬機法(旧薬事法)に則った「夏バテ」の表現について解説

薬機法では、健康食品や化粧品の表示や広告宣伝において、医薬品と誤認されるような効能効果を表示・広告することを禁じています。しかしながら、雑誌やニュースにおけるオリジナル記事に関しては、薬機法の規制の対象外です。

「納得のダイエット効果」「コラーゲンでシミを解消」といった効能をうたうことは、広告では禁止されていますが、記事内にそういった表現を使っても規制対象とはなりません。私たちが普段読んでいる記事のなかには、薬機法の対象とならないことから、効果を強調するような表現が使われていることもありますが、情報を鵜呑みにしないようにする心掛けを持つことが大切です。

なお、特定の商品のPRと分かる記事については、規制対象となります。ネットに掲載された記事の場合、記事そのものが商品のPRを趣旨としていなくても、リンク先に商品の紹介ページがある場合は、薬事法的にはNGと判断されます。

雑誌記事に関しては、薬事法の対象外ですが、商品の広告に関しては薬事法が適用されます。健康雑誌に掲載された商品に興味を持った場合は、適した表現で商品が宣伝されているかをきちんとチェックした上で購入するのがおすすめです。

健康食品に関しては、あくまでも食品の扱いであり、医薬品的な効能効果をうたうのはNGとされています。NGとされる表現の例としては、体力増強や疲労回復が挙げられます。老化防止、若返りといった表現もNGです。

厚生労働省や都道府県等では、薬事監視業務として広告監視を実施しています。薬事関係の広告に関して、記載されている内容に違反や不適正な字句や表現がないかについて丁寧に確認を行う業務を通して、消費者が安全に商品選びができる環境を守ってくれているのです。

薬事法違反などに該当する広告が見つかった場合は、広告を行った者に対して適切に指導・取り締まりをしています。雑誌のほか、新聞や折り込みチラシ、紙のパンフレット、インターネットまで幅広い広告が対象となっています。

薬事法違反にあたる広告と言ったら、虚偽や誇大広告を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。薬事法では、医薬品等の性能に関する虚偽や誇大広告を禁止するとともに、承認前の医薬品等の広告についても禁止しています。

また、薬事法では、がん、肉腫及び白血病といった特定疾病用の医薬品の医薬関係者以外の一般人を対象とする広告を制限しています。自身や家族ががんに罹患している場合は、少しでも症状を改善したいという思いから「がんが治る」といった商品の広告に心を惹かれることもあるかもしれません。

しかし、薬機法に違反した商品を安易に使用すれば、かえって健康状態を悪化させる危険性もあるため、そういったキャッチーなフレーズに騙されないようにすることが大事です。

ここでは、実際にどのような雑誌広告が薬事法違反として指摘されたか、過去の例をチェックしてみましょう。まず、健康食品に関しては、ペプチド含有食品に対して「ダメージを受けた筋肉をすばやくサポート!」と宣伝した広告が、身体の組織機能の増強、促進を目的とした表現にあたるため不可と判断されました。

身体の組織機能の増強、促進を目的とした表現にあたるため不可と判断された雑誌広告としては、「血液の流れを良くしましょう。」といった血液サラサラ効果をうたったものや、「体を弱アルカリに保ちます。」と宣伝したクロレラ含有食品などの例もあります。

「滋養強壮はもちろん。ガン予防にも効果がある。」という広告は、疾病の治療又は予防を目的とする表現であるため不可と判断されました。はっきりと効能を明示していなくても、効能を暗示する言葉を使っている表現はNGとみなされます。

コラーゲン入り食品に対して「軟骨にはコラーゲンがタップリ含まれています。軟骨に柔軟性がなくなると痛みを感じやすくなります。」と謳った広告は、疾病の治療や予防を暗示する表現にあたるため、不可と判断されました。

次に、化粧品に関する薬事法違反の表現についても、雑誌広告における過去の例を確認してみましょう。「お肌のサビ。くすみ、しわ、たるみ。」と宣伝した広告は、しわ、たるみを改善予防できるかの表現を使用していて化粧品の効能効果を逸脱すると指摘されました。

また、化粧品には有効成分が配合されていないことから「有効成分」という表現は使用できないため、「有効成分を高濃度で含む」と表現した化粧品の広告が、薬事法違反として指摘を受けました。基礎化粧品では「疲れのサインをやわらげる。

バリア機能と代謝のリズムを整える。」と宣伝した商品や、「肌本来の機能を高めるために・ 美白や加齢のトータルケア」と宣伝した商品が、化粧品として表現できる効能効果の範囲をこえているとして、薬事法違反と判断されました。

商品名に「ドクター○○」と名付けた化粧水については、化粧水の販売名や愛称で「ドクター」は使用できないため、違反に該当すると指摘されました。また、シャンプーで「植物エキスが髪を生き生きロングにしてくれる」と宣伝した商品については、シャンプーに関して、髪の毛を伸ばす旨の表現をするのは効能効果の逸脱にあたるとして、薬事法違反と判断されました。

数多くの化粧品が販売されている時代、消費者の心を掴むため、キャッチーなフレーズを使って宣伝をする商品が増えています。そういったフレーズに踊らされることなく、性能や用法が正しく表記されているかを冷静に見きわめる姿勢が求められていると言えるでしょう。

誤った認識に基づいて商品を使用した場合、健康面での被害を受けてしまうこともあるという意識を持ち、適切かつ慎重に商品を選ぶようにしてください。

健康雑誌や美容雑誌は、気軽に読みやすいというメリットがある一方で、膨大な情報のなかから適切に情報を取捨選択するのが難しいという側面もあります。薬事法に関する知識を身につけておくと、雑誌の記事や広告から得られる情報を客観的に見つめられるようになります。

健康食品やスキンケア用品を選ぶ目を養うようにしてください。