薬事法への理解を深めて健康や美容情報と適切な距離を取ろう

身近に色んな商品に触れられる便利な時代になった一方で、適切に情報を判断するのが難しいと感じるシーンが多くなってきましたよね。ここでは、健康食品や化粧品を選ぶ際に役立つ薬事法の規制に関する情報を分かりやすくお伝えしましょう。

どんな表現が薬機法違反になるかについて理解を深め、健康や美容に関する情報と適切に距離を取って暮らせるようにしてください。

→薬機法(旧薬事法)に則った「夏バテ」の表現について解説

医薬部外品として取り扱われる薬用化粧品は、にきびを防ぐ、美白に効果がある、といった「有効成分」を含有している商品を指します。薬用というと、安心なイメージがあるかもしれませんが、必ずしも全ての人に安全に使用できるとは限らないものです。

使用前には、パッチテストを実施して、肌に異常がないかを確かめてから使用するようにしましょう。美白効果があるからと言って、決められた用量や回数以上に使用するのは、肌トラブルの原因ともなります。正しい用法を守って使用するようにしてください。

薬用化粧品に関する情報を得る際に、雑誌やインターネットで美容関係の記事を参照するという人もいることでしょう。記事については、薬事法の規制対象外となるため、規制対象である広告と比べて効果が大きくうたわれている記事もあります。

記事で述べられている薬用効果についてそのまま情報を信じることなく、情報とは一定の距離を保ち、冷静に判断する目を持つようにしましょう。

一般化粧品については、薬用化粧品とは別に、標ぼう可能な効能効果が56個定められています。56個の項目が、頭皮・毛髪に関する項目、皮膚に関する項目、香りに関する項目、爪に関する項目、唇に関する項目、オーラルケアに関する項目に分類されてわかりやすく表記されています。

56個の効能効果以外にも、メーキャップ効果及び使用感について、事実であれば表現することができます。メーキャップ効果に関する表現の一例が、「化粧品くずれを防ぐ」という表現です。使用感に関する表現としては、「清涼感を与える」「爽快にする」などが挙げられます。

一般化粧品に関しても、薬用化粧品と同様に、広告は薬機法の規制対象となりますが、記事に関しては規制対象外となります。魅力的な美容情報に惑わされることなく、情報と適切に距離を保てるように心掛けることが大事です。

健康食品は、病気の治療・予防を目的とするものではないため、医薬品的な効能を表示することが薬事法において、厳しく規制されています。製品に添付された説明文だけでなく、パンフレットやチラシ、テレビやラジオ、新聞、雑誌、インターネットといった幅広いメディアにおける広告に関しても、薬事法の規制対象となります。

不足しがちな栄養を補うサプリメント等でよく見かける栄養補給という表現は、薬機法の規制対象ではないものの、文脈によっては規制対象に該当すると判断されることもあります。対象年齢を表記することは認められているため、「働き盛りの方に」「発育時に」といった表現をしている健康食品については、薬機法のルールが守られています。

薬機法でNGとされるのが、病的な状態を改善することをうたった表現です。

例えば、「病中病後の体力低下時の栄養補給に」という表現は、病的な栄養の欠乏状態を指す表現が含まれているため、薬機法違反にあたります。薬機法違反の表現は、一読しただけでは、違反に気付きにくいこともあります。

情報と適切に距離を取り、客観的な視点から情報を見つめて、細かく丁寧に表現をチェックするようにしてくださいね。

→雑誌の情報をチェックする際には薬事法を意識することが大切!

効能効果を明記している場合だけでなく、効果を暗示している表現についても、薬機法で規制対象となります。遠まわしに効果が記されている場合は、薬機法違反であるかが判断しづらいケースもありますが、落ち着いて情報をチェックするようにする心掛けを持つようにしてください。

効果を暗示する表現の例としては、健康食品に関して「食品なので医薬品のような速効性はありませんが、じわじわと効果があらわれます。」と記した表現が挙げられます。「視力が気になる方に」「目を使う方に」という広告をしたブルーベリーの含有食品については、身体の特定部位を掲げ、治療効果を暗示する表現であるため、不可であるという判断が下されました。

化粧品に関しても、効果を暗示することは禁止されています。「肌のリフト力に弾みをつけます」とした化粧品の広告については、バストアップを暗示しており化粧品の効能効果を逸脱するとして、薬機法違反と判断されました。

薬機法の規制対象となりうる表現の特徴をきちんと把握しておき、健康や美容情報と正しく距離を保って暮らせるようにしましょう。

健康や美容に役立つ商品を購入する際には、薬機法以外にも知っておくと役立つ法律があります。健康食品は、食品の扱いとなるため、食品表示法や食品衛生法が適用されます。薬機法上は問題のない表現であっても、他の法律と照らし合わせることで、食品として安心して口にできる表示がされているかをチェックすることが大事です。

健康食品は、スーパーやドラッグストアでも販売していて、気軽に取り入れやすいものですが、場合によっては健康を害する危険性もあるということを認識した上で、適切に選ぶようにしましょう。また、幅広い商品やサービスに適用される景品表示法についても理解を深めることが大切です。

商品やサービスに関して不当に表示する優良誤認表示や、商品・サービスの価格や取引条件についての不当表示をする有利誤認表示に惑わされないよう、商品やサービスに関する情報と適切な距離を取って、情報の有効性を判断するようにしてください。

無果汁の清涼飲料水に関する不当な表示や商品の原産国に関する不当な表示といった誤認されるおそれのある表示に対しても、敏感に反応する姿勢を持つことが求められています。

情報化社会においては、身の回りにあふれる情報を正しく取捨選択する目を養うことが求められます。化粧品や健康食品を購入する際に覚えておきたいのが、薬機法で定められたルールです。薬機法違反と判断されるような誇大広告に騙されることがないよう、健康や美容に関する情報とは一定の距離を保って、適切に情報を取り入れられるように心掛けてくださいね。